映画「フォレスト・ガンプ」をテーマにしたアメリカン・シーフードレストラン「ババ・ガンプ・シュリンプ」。現在はアメリカ10州及び海外5カ国で計28店舗展開中。日本国内では(株)WDIが3店舗(東京店・豊洲店・大阪店)を展開している。アメリカ特有のフレンドリーな接客を得意とする店だが、「フレンドリーすぎて苦手」という日本のお客様にはどう対応しているのだろうか。またチップを払う習慣がない日本で、アメリカ式接客法は成り立つのだろうか。
ハワイ店では“3テーブル制”を導入 「ババ・ガンプ・シュリンプ 東京」をオープンする前、ハワイの「ババ・ガンプ・シュリンプ」を視察に行きました。とても活気がある店で、ホールは“担当テーブル制”になっていました。“3テーブル制”、つまり一人が3テーブルを担当するという方法でした。アメリカの「ババ・ガンプ・シュリンプ」はどの店も3テーブル制を採用しているのです。
実際、店にお客として入ると、ホールスタッフのキャラクターはバラエティー豊かで、きめ細やかな接客でもてなしてくれました。パートタイムより、フルタイムで勤務するスタッフが多く、アメリカではチップが貰えるという習慣もあるせいか、みんないきいきと働いていました。
メニューブックや内装などの面では、日本でもアメリカの店のスタイルを踏襲しています。しかし接客に関しては、日本ならではのスタイルを模索しました。というのも、日本にはチップを払う習慣がありませんし、フレンドリーなアメリカ風の接客を「馴れ馴れしい」と不快に思うお客様もいるからです。
入店後すぐにお客のタイプを見極める アメリカでは映画「フォレスト・ガンプ」を知らない人はほとんどいませんが、日本では映画を見たことのないお客様もいらっしゃいます。そこで入店後、「フォレスト・ガンプをご存知ですか」とお尋ねし、映画をテーマにしたレストランがアメリカから上陸したことをご説明します。まず、店に興味をもってもらうのです。
当店のドリンクメニューは卓球のラケットにメニューを貼り付けたものになっていますが、「映画の主人公であるフォレスト・ガンプがやっていたスポーツは、卓球以外に何だったか覚えていますか?」とドリンクの注文時に声をかけたりもます。(ちなみに答えはアメフトとマラソンです)このように映画に関連した会話をする接客はアメリカと同じです。
一方、マルガリータ系のカクテル5種に関しては、お客様に一緒に「シェイク!シェイク!」と声がけをしてもらいながら、シェイカーを振ってお出しする提供スタイルを導入しています。場を盛り上げるためにパーティーなどの大人数の時によくやるのですが、もともとこれはアメリカでやっていたことではなく、日本第一号店である大阪店ではじめてやったことでした。
このように、アメリカン・スタイルの接客法を100%真似るのではなく、それをベースに日本に合った接客法にアレンジしているのです。アメリカ風のテンションの高い接客が苦手な方には、「シェイク・シェイク」の時でもかけ声を出さずに、シェイカーを振ってお出しするだけにしています。
お客様が“アメリカ風接客法を受け入れてくれるか、それともそうでないか”は、お客様とのファースト・アプローチで判断しています。入店後、2つ、3つの会話のやり取りだけで、お客様のタイプ(ノリの良さ)を察知する――それが難しい点です。
ステーション制にも長所・短所がある また日本では3テーブル制ではなく、ステーション担当制にしています。これは一人が6〜7テーブルを担当する方法で、3テーブル制ほど厳密に担当するテーブルを決めているわけではありませんが、客席のどのスペースを自分がメインで任されているのかをあらかじめ決めているのです。
こうすることで、例えば誕生日イベントなどの場合は、メインのスタッフが先頭をきって歌を歌い、盛り上げ役を率先してやり、他のスタッフは自然とサポートする役回りになるのです。またお客様に何度もオーダーを確認するようなことも少なくなり、お客様にスタッフの名前を覚えてもらいやすくもなります。責任の所在が明確なのもメリットの一つと言えるでしょう。
逆にデメリットは、接客レベルにムラが出やすいこと。担当スタッフの良し・悪しで、店の良し・悪しが決まってしまいがちです。だから当店では、どのステーションにも属さずに、常に“浮いた”状態でいる社員1〜2人を必ず配置し、何かあればすぐにフォローできる体制にしているのです。
アメリカと日本では接客スタイルが確かに違いますが、良い点を取り入れ、受け入れられない点を排除するという取捨選択をしながら、最高の接客を目指しているところです。 |