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2008年11月21日
次回更新日 11月25日 【毎週火曜日更新】
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第2回対談 第4回対談


がちんこ対談第2回 八百八町石井誠二社長VSキイストン細見昇市社長

テーマ:
経営における指標「従業員を導く標語の必要性」

苦境に立ち向かえるものは、勇気のみ。


細見 石井さんと言えば、いまだ“つぼ八”の創業者という認識があります。その“つぼ八”が会社を乗っ取られる形になり、石井さんが追い出されるようになりましたが、その時、挫折のようなものは感じましたか?

石井 
昔、ある本を読んだんです。家も、車も、家族でさえ何もかも無くしたとしても、それは大したことじゃない。それよりも、人生においてダメなことは、人を傷つけたりすること、だと。ただ、人を傷つけても、罪をつぐなえばそれで終わる。何を無くしたらいけないかと言うと、勇気。これを無くしたら本当に終わり。逆に考えれば、勇気さえなくさなければ、いくらでもやり直せます。乗っ取られた当時、500億売上を上げた会社も、車も持っていかれたけど、その考え方があったから大したことはない、と思えましたね。

細見 率直に、「コノヤロウ!」という気持ちは無かったんですか?

石井 人は、一生という時間が与えられていて、いずれ使い果たす。これから使う時間と使っちまった時間がある。後者は取り返せないから、忘れちまった方がいい(笑)会社を持っていかれても、勇気までは持っていかれませんから。

細見 働いていた従業員の方は、ちりぢりになったのですか?

石井 そうですね。当然、従業員のことを最優先で考えました。片っ端から全員に連絡して、再就職先を見つけましたよ。
八百八町石井誠二社長

人を前進させるもの、それが“志”である。


細見 その人材に対する考えをお聞きしたいのですが。御社は、“社員の独立”ということを大きなミッションとして考えておられるようですが、全員が全員、というわけではないですよね?どんな方が独立に適していると思われますか。

石井 独立したいのであれば、強い志がなければダメです。自分の人生をどうしたいのか、それを考えなければならない。

細見 ただ、石井社長も22歳くらいの時に、“少年よ、大志を抱け”という言葉に出会うまで志が無かったように、今の若い人も自分の志というものがわからないと思うんですよね。

石井 志がないやつは、ワーカーで使われるしかない。もちろん、世の中にワーカーのような仕事は永遠に必要。でも、ワーカーで使われたくないと思ったら、必死になって志や人生の目標を決めるべきです。そして、志に気づいたら、そこから人生ははじまる。だから、過去の経験なんて問わないんです。極端に言ったら、昨日まで刑務所入っていた、総理大臣やっていた、ホームレスやっていた、何でもいいと思う。

細見 僕らにも標語のようなものがあって、“元気発信”という言葉を掲げています。元気・明るいを基本姿勢としていますが、何か迷いがあったり、うまく行かなかった時に、僕らはその標語に立ち返ることにしているんです。原点に返るという作業ですよね。そうして複雑なことでもシンプルに考えることができると、うまく事が運ぶケースがあるんです。やはり飲食業界でも、志や自分なりのこだわりという精神的な支えみたいなものがあると、行動が変わりますかね?

石井 えぇ、変わります。志を本気で想い続ければ、行動につながりますよ。私のもとで働いていたワタミの渡邉社長もそうでしたね。彼は、言ったことはちゃんと行動に移していましたから。「うさぎとカメ」のうさぎのように、隣の動きを見て右往左往していないで、カメのように自分で決めたゴールを目指したら、必ず夢は手に入りますよ。

細見 そういった教育はどうされているのでしょうか。

石井 “しつけ”ですね。例えば、挨拶とか、返事だとか、後始末とかね。“しつけ”ができていると、仕事の質も高くなりますよ。仕事は人間がやるもの。仕事の質を上げるためには人間の質を上げなければならないんです。

引退宣言。将来の夢。


細見 そんなご教育をされ、現在“志”を持った社員が、どんどん独立という形で巣立っておられます。数年後、石井社長は引退するとおっしゃっていますが、その後はどうする予定でしょうか。

石井 飲食業界というのは考えてなく、悪ガキ集めて、自給自足の暮らしをしてみたいですね。たんぼつくって、食う米をつくって。生活の中で、生命のこととかを教育したい。僕には、養鶏場での自給自足の経験がありますから。給料なんてほとんど払われない中、5年間もやってこれたのは、鶏糞をもってきて野菜とかもつくったり、鶏ぶら下げて、農家と米と交換したり、ゴルフをやったり、とにかく楽しかったから続けられた。そんなことを現代の若い人たちにも経験してもらいたい。

細見 採用という視点で見ると、今後女性をうまく使える企業が生き残っていく、と感じているのですが、御社では女性の活用というものに関しては、どうお考えでしょうか。

石井 女性では難しい面もあります。力仕事なんかは。でも、そういったものは男性に任せてしまえばいいと思いますよ。生ビールのジョッキなど小さいものをつかったり、深夜勤務のない駅ビルなんかで勤務してもらっていますから、女性の店長というのもどんどん誕生しています。


キイストン 細見昇市

in-職hyperがちんこ対談

細見
 採用面接は、石井社長がやられているのですか?

石井 いや、僕は証人みたいなものですね。良くない応募者は僕のところに回してきません。最後に、その人の話を聞いて、頑張れよ、と。生きている間は、あきらめないで欲しい。死んだらあきらめられるからな(笑)というようなことを話します。

細見 最後に、この記事を読んで異業界から飲食業界に転職したい、という読者に居酒屋のパイオニア石井誠二から、飲食業界の面白味を伝えてもらえませんか。

石井 飲食業界は、想った通りになる。例えば、おたくと同じように、自分に元気があれば周りの人に喜んでもらえる。自分がやったものがちゃんと返ってくる、というのが飲食業界の楽しさですよね。だから、商品の味や店の雰囲気も大切ですが、“人間力”で勝負する世界です。朝起きたら、おはよう!と大きな声で挨拶する。嘘をつかない。愚痴言わない。約束を守る。単純ですが、そんなことを周りにやっていたら、人が集まってきますよ。そういった、人間のコミュニケーションの根本で勝負できる、という面白さがこの業界にはあります。

 

(株)八百八町HP
http://e-808.com/

【ゲストプロフィール】
八百八町石井誠二社長
つぼ八の創業者、いわば"居酒屋"の父
単身北海道に渡り、行商・養鶏場の体験を経て、昭和四十八年夫人と共に、もはや居酒屋の代名詞“つぼ八”を創業した。その功績は各メディアに取り上げられ、称えられている。しかし…経営が軌道に乗り、株式上場を考えていた頃、“つぼ八”は、某総合商社に乗っ取られてしまう。その後、“八百八町”を展開。店舗では、照明一つにも徹底したこだわりを見せるが、自身の苦労話は、おおらかに話す。苦労を苦労と思っていないところ、本当にこの仕事が好きだということを感じさせられる。